遺産影響評価の取り組み

遺産影響評価とは、開発等の行為者が遺産への影響を客観的な視点で評価し、その解決策について関係者間で合意形成するための手段です。

本遺産群では、『遺産影響評価運用マニュアル』を策定し、遺産影響評価制度を適切に運用しています。マニュアルや過去の実施状況についてはこちらをご確認ください。

過去の実施状況

鐘崎漁港整備事業(漁港の拡張工事)に係る遺産影響評価

鐘崎漁港整備事業(漁港の拡張工事)に係る遺産影響評価書(2019年7月)

概要:鐘崎漁港整備事業は、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群のバッファーゾーンで実施される既存漁港の拡張工事である。本事業は、資産の歴史的・文化的価値及び資産の景観に負の影響を与えるものではなく、本遺産群の顕著な普遍的価値及びその属性におよぼす負の影響はない。

ICOMOS Technical Review(2020年7月)

結論:鐘崎漁港整備事業に関して締約国が提供した情報は、計画されている建設が世界遺産の顕著な普遍的価値に悪影響を与える明らかなリスクがないことを示している。また、リスクを可能な限り抑えるために、このプロジェクトでは緩衝地帯における制約(注:景観計画・景観条例)が事業計画に反映されている。したがって、ICOMOSは、景観重要港湾の許可基準の規定に従うことによって、このプロジェクトは実行できることを示唆する。

玄海ゴルフクラブ練習場の安全対策工事に係る遺産影響評価

玄海ゴルフクラブ練習場の安全対策工事に係る遺産影響評価書(2023年3月)

概要:本工事で設置する防球ネットの高さは、地域住民及び来場者の安全確保のために必要な高さである。また、当該防球ネットは九州本土から沖ノ島方向に開けた眺望景観に負の影響を与えるものではない。このことから、本件が本資産の顕著な普遍的価値及びその属性におよぼす負の影響は軽微である。なお、次回更新時には練習場の廃止を含めて検討し、「宗像市景観計画」で定める景観形成基準に適した形態・意匠とする。