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画像:宗像大社辺津宮

新原・奴山古墳群

沖ノ島祭祀を担った宗像氏の墳墓群

 福津市にある新原・奴山古墳群は、海を越えた交流の担い手として沖ノ島祭祀を行い、信仰の伝統を育んだ古代豪族宗像氏の墳墓群です。
 宗像氏は、5〜6世紀にかけて、入海に面し沖ノ島へと続く海を一望する台地上に墳墓群を築きました。前方後円墳5基、円墳35基、方墳1基の計41基が現存しています。大型の前方後円墳(22号墳)や中型の前方後円墳(1号墳)は5世紀、中型の前方後円墳(12・24・30号墳)は6世紀前半〜中頃、小型の円墳群(34〜43号墳)は6世紀後半に築かれました。また、入海に突き出た位置に5世紀に築かれた7号墳は、宗像地域では珍しい方墳で、沖ノ島祭祀と共通する鉄斧が発見されました。これらは良好な状態で現在まで伝えられてきました。前方後円墳など古墳の形や、古墳の周囲をめぐる溝などもかつての姿を留めており、散策しながら古墳群を楽しむことができます。

画像:新原・奴山古墳群
図版:新原・奴山古墳群の地図
画像:25号墳(5世紀後半)
25号墳(5世紀後半)
画像:22号墳(5世紀)
22号墳(5世紀)
画像:30号墳(6世紀前半)
30号墳(6世紀前半)

アクセス

福間駅前

バス約25分

奴山口

徒歩約15分

新原・奴山古墳群


JR福間駅みやじ口

バス約26分
(ふくつミニバス津屋崎線)

カメリアステージ

カメリアステージ

バス約26分
(ふくつミニバス勝浦線)

昭和学園前(展望所前)


宗像大社辺津宮

タクシー約8分

新原・奴山古墳群

COLUMN

古墳群と入海

 新原・奴山古墳群が築かれた頃、入海であった勝浦潟は天然の良港で、海と内陸をつなぐ交通の拠点として地域を支えました。
 江戸時代になると、福岡藩によって海岸線に防風林・防砂林として松が植林され、入海は塩田や新田の開発によって干拓され、現在へ至ります。現在の田園風景は、地元農家の何代にもわたる営農の積み重ねによって形づくられ、維持されています。水田にたたずむ古墳もまた、地元住民によって草刈り等の手入れにより守られています。役目を終えたかつての入海は水田へと姿を変えましたが、大海原のように広がる田園風景は、この場所で船が行き交っていた往時の風景を想起させてくれます。

画像:「勝浦嶽并海中道」『筑前国続風土記附録』寛政9年(1797)、個人蔵

「勝浦嶽并海中道」『筑前国続風土記附録』寛政9年(1797)、個人蔵
江戸時代の勝浦潟の風景。海岸の砂州は松原が続く「海中道」と呼ばれた景勝地であり、干拓地には塩焼きの煙が上り、外海とつながる 津屋崎の港には帆船が集まる。丘陵には茅葺民家の農村集落と共に、「大塚」「剣塚」といった古墳に由来する地名が見える。

COLUMN

古墳群を後世に伝える

 古墳群とその周辺の風景が良好に残されてきた理由は2つあります。
1つは噂。地元で「塚」 と呼ばれる古墳群には、「塚に近づいて1か月も高熱が続いた人がいた」「"塚風"にあたると病気になる」等々。これらは、得体のしれないものへの畏怖とともに、先人らが、大切に守ってきた空間を侵してはならないという警告でもあるのでしょう。

画像:新原・奴山古墳群34~39号墳
新原・奴山古墳群34~39号墳

 もう1つの理由が、地域の方々の努力です。奴山地区に暮らす人々は塚のある風景を愛してやみません。あの山の上からの眺めがよいとか、夕日が沈むときが一番きれいだとか、それぞれが自分だけのおすすめの〝塚の風景〟を持っています。
 地域の人々は定期的な草刈りを行い、古墳の形がわかるようにしています。このような古墳群の保全活動だけでなく、周囲の遊休農地を活用して菜の花を植える取り組みや、古墳群と親しんでもらうイベントも開催されています。

周辺スポット

カメリアステージ歴史資料館

画像:カメリアステージ歴史資料館

新原・奴山古墳群をはじめ、古代宗像氏に関わる福津市内の古墳出土品の展示があります。

住所/福岡県福津市津屋崎1-7-2
電話/0940-72-1207
開館/10時~20時
休館/火曜(祝日の場合は翌平日)および毎月最終水曜
入館料/無料

新原の百塔板碑

画像:新原の百塔板碑

5世紀につくられた21号墳の上に梵字や仏像が彫られた石碑が立っています。蒙古襲来の戦死者の供養のためとの伝説がありますが、行円なる僧が地域の人々の協力を得て、それまでにあった墓石などを改修し立てたようです。
※お問い合わせ:福津市文化財課(下記参照)

勝浦井ノ浦古墳・勝浦峯ノ畑古墳

画像:勝浦井ノ浦古墳・勝浦峯ノ畑古墳

5世紀に築造された宗像氏の古墳です。勝浦峯ノ畑古墳は全長100mの巨大な前方後円墳で、沖ノ島祭祀遺跡から出土した鏡と同型のものが見つかっています。

西鉄バス「奴山口」から「東」まで

乗車(約2分)「東」から徒歩約10分

在自唐坊跡展示館

画像:在自唐坊跡展示館

「唐坊」とは、中世の中国人の居留地のことです。遺跡を小学校の中で保存しています。展示館の利用には予約が必要です。
※お問い合わせ:福津市文化財課(下記参照)

西鉄バス「奴山口」から「津屋崎小学校前」まで乗車(約7分)

宮地嶽神社

画像:宮地嶽神社

「大しめ縄」「大鈴」「大太鼓」の3つの日本一があることで有名です。境内の奥の院には直径35mの円墳(宮地嶽古墳)があり、全長23mの横穴式石室は全国第2位の長さを誇ります。

西鉄バス「奴山口」から「宮地嶽神社前」まで乗車(約15分)

お問い合わせ先・リンク

福津市文化財課
福津市文化財課世界遺産係
住所/〒811‐3293 福岡県福津市中央1丁目1番1号
電話/0940-43-8134 FAX/0940-43-9004
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